
ヘリクリサムは、地中海沿岸に自生するキク科の植物です。
黄色から黄金色の小さな花を咲かせ、乾燥させても色や形が残りやすいことから、「不死の花」「イモーテル(Immortelle)」という名前でも知られています。
精油として使われるのは、主に Helichrysum italicum。
アロマテラピーでは、少し独特で個性的な香りを持つ精油として親しまれています。
甘さの中にハーブや草のようなニュアンスがあり、ほんのりスパイシー。どこか温かみのある、深い香りです。
私がヘリクリサムの香りを嗅いだときに感じるのは、華やかな花の香りというよりも、植物そのものの生命力を感じるような香り。
少量でも存在感があるので、ブレンドの中にほんの少し加えると、香り全体に奥行きが出ます。
精油について
- 学名:Helichrysum italicum
- 科名:キク科
- 主な産地:地中海沿岸地域
- 抽出部位:花を含む開花した地上部など
- 抽出方法:水蒸気蒸留法
- 別名:イモーテル、エバーラスティング
- 主な芳香成分:ネリルアセテート、α-ピネン、γ-クルクメン、ネロール、イタリディオン類など
ヘリクリサム精油の成分は、産地や収穫時期、生育条件などによってかなり変化します。
研究でも、ネリルアセテートが多いタイプ、α-ピネンやγ-クルクメンなどが多いタイプなど、いくつかの特徴的な成分構成が報告されています。
そのため、「ヘリクリサムなら必ずこの香り」というよりも、産地や精油によって少しずつ個性が違う香りとして楽しむのも面白いところです。
どんな香り?
香りの印象
ヘリクリサムは、ひとことで表すのが少し難しい香りです。
甘さのあるフローラル感に、乾いた草やハーブ、少しスパイシーな印象が重なります。
人によっては、はちみつのような甘さや、温かみのある草の香りを感じることも。
華やかな花の香りを想像して嗅ぐと、少し意外に感じるかもしれません。
私が好きなのは、この「花だけでは終わらないところ」。
柔らかな甘さがありながら、どこか土っぽさや植物らしさもあって、香りに奥行きを感じます。
香りの強さ
中程度〜やや強め。
少量でも存在感があるので、最初は控えめに加えると香りをまとめやすい精油です。
単独で香ると個性的ですが、他の精油と合わせることで、全体を落ち着かせたり、深みを加えたりするような使い方もできます。
香りのノート
ミドル〜ベース寄り。
華やかなトップノートのようにすっと消えていくというより、ゆっくりと残りながら、ブレンドの中に深みをつくってくれる香りです。
香りの持続性
比較的長く残りやすい香りです。
特にウッディ系や樹脂系の香りと組み合わせると、落ち着いた余韻を楽しみやすくなります。
ブレンドとの相性
ヘリクリサムは、意外といろいろな香りと合わせやすい精油です。
ラベンダーのような穏やかなフローラル系とは柔らかくまとまり、ローズやゼラニウムと合わせると、少し深みのある花の香りに。
フランキンセンスやサンダルウッドなどの樹脂・木の香りと合わせれば、落ち着いた大人っぽいブレンドになります。
柑橘系と合わせると、ヘリクリサムの個性的な香りが少し軽やかになり、使いやすく感じることもあります。
主な成分と特徴
ヘリクリサム精油には、さまざまな種類の芳香成分が含まれています。
代表的なものとして知られているのが、ネリルアセテート、α-ピネン、γ-クルクメン、ネロールなどです。
また、ヘリクリサムらしい成分として、イタリディオン類も知られています。
ただし、ヘリクリサム精油は産地や植物の状態によって成分の割合が変わりやすい精油です。
そのため、成分表を見るときも「ヘリクリサムだからこの成分が多い」と単純に考えるより、購入した精油そのものの成分分析表を確認するほうが、その香りの個性を知る手がかりになります。
研究では、ヘリクリサム精油の化学組成には複数のタイプがあることも報告されています。
ヘリクリサム精油の作用
ヘリクリサム精油には、ネリルアセテートやα-ピネン、γ-クルクメンなど、さまざまな芳香成分が含まれています。こうした成分の特徴から、次のような作用が知られています。
- 抗炎症作用
炎症反応を穏やかにする働き。 - 抗酸化作用
酸化によるダメージから守る働き。 - 抗菌作用
細菌などの増殖を抑える働き。 - 鎮痛作用
痛みに関わる反応を穏やかにする働き。 - 鎮静作用
神経の興奮を穏やかにする働き。
こうした作用については、ヘリクリサム精油や含まれる芳香成分を対象に、さまざまな研究が行われています。ただし、研究結果がそのまま人への医療的な効果を示すものではありません。
ヘリクリサムは、少し個性的で深みのある香りを持つ精油です。作用だけでなく、甘さの奥にある草やハーブのような香りも一緒に楽しみたい精油です。
植物と歴史
ヘリクリサム・イタリカムは、地中海沿岸を中心に育つ多年草です。
イタリアやフランス、クロアチア、スロベニアなどの地域にも分布しています。乾燥した土地や日当たりのよい場所を好む植物として知られています。
黄色い花を咲かせる姿は可愛らしいのですが、この植物の面白いところは、花を乾燥させても色や形が残りやすいこと。
そこから「永遠」「不死」を思わせる名前で呼ばれるようになりました。
英語名の「Immortelle(イモーテル)」も、「不滅」を意味する言葉に由来しています。
地中海地域では、ヘリクリサムは昔から植物として利用されてきました。
古くからの利用については、伝統医学の中でさまざまな目的に使われてきたことが文献に記録されています。現在も、こうした伝統的な利用をもとに、植物の成分や作用について研究が行われています。
「不死の花」という名前を知ってから香りを嗅いでみると、どこか乾いた土地で力強く咲いている植物の姿まで想像できるような気がします。
香りの楽しみ方
ヘリクリサムは、単独で香らせるよりも、ブレンドの中に少量加えて楽しむのも面白い精油です。
たとえば、
- ヘリクリサム+ラベンダー
- ヘリクリサム+フランキンセンス
- ヘリクリサム+ゼラニウム
- ヘリクリサム+オレンジ
- ヘリクリサム+サンダルウッド
など。
ラベンダーと合わせれば柔らかく、フランキンセンスやサンダルウッドと合わせれば、落ち着いた深みのある香りになります。
柑橘系と合わせると、少し重さのあるヘリクリサムが軽やかになり、香りの表情が変わります。
芳香浴では、まずは少量から。
ヘリクリサムは香りに存在感があるので、1滴加えるだけでもブレンド全体の印象が変わることがあります。
「もう少し深みがほしいな」と感じたときに、ほんの少し加えてみる。
そんな使い方も楽しい精油です。
ヘリクリサム精油の禁忌事項
ヘリクリサム・イタリカム精油については、資料によって安全性の記載に差があります。
一方では特に大きな禁忌は知られていないとする資料もありますが、妊娠中・授乳中については安全性の情報が十分ではないため使用を控えるとしているメーカーもあります。
また、出血傾向や抗凝固薬などとの関係について注意を挙げている資料もあります。手術を予定している方や、血液を固まりにくくする薬を使用している方は、自己判断で使用せず、医療従事者や精油に詳しい専門家へ確認しておくと安心です。
なお、ヘリクリサム・イタリカム精油は、一般的には光毒性のある精油とはされていません。
ただし、精油の安全性は植物の種類や産地、抽出物の種類によって変わることがあります。
使用する精油のラベルやメーカーの安全情報も確認しながら、無理のない使い方を選びたいところです。
共通の注意
精油は、植物から抽出された香りの成分が凝縮されたものです。
原液を直接肌につけたり、自己判断で飲用したりすることは避けましょう。
肌に使用する場合は、植物油などで適切に希釈して使います。
また、妊娠中・授乳中の方、乳幼児、高齢者、持病や服薬がある方などは、精油の使用について専門家に確認しておくと安心です。
肌に使用する場合は、体質によって刺激やアレルギー反応が起こることもあります。
「天然のものだから大丈夫」とは限りません。
使用する精油のメーカーが示している注意事項や品質情報も確認しながら、無理のない範囲で楽しみましょう。
Rinkaでの使い方・使用している精油
ヘリクリサムは、香りに少し個性があるので、私自身は「今日はこの香りを使いたい」と思ったときに手に取りたくなる精油です。
華やかで甘いだけではなく、少し草っぽさやスパイシーさがあって、香りを嗅いでいると植物の存在を感じます。
サロンで香りを組み立てるときにも、ブレンドに深みを出したいときの選択肢になります。
Rinkaでは、プラナロムのヘリクリサム精油を使っています。
精油は同じ名前でも、産地や成分構成によって香りの印象が変わることがあります。
私が実際に使っている精油の香りが気になる方は、こちらから見てみてください。
香りをもっと楽しむ
ヘリクリサムは、最初に嗅いだときには「ちょっと独特かも」と感じる人もいる香りです。
でも、何度か香っているうちに、甘さや草のようなニュアンス、少しスパイシーな奥行きが見えてきます。
好きな香りは、その日の気分や体調、季節によっても変わるもの。
「今日はこの香りが心地いいな」と感じるところから、精油を選んでみるのもいいですね。
ヘリクリサムのような個性的な香りも、他の精油と組み合わせることで、また違った表情を見せてくれます。
香りを知るほど、ブレンドする楽しさも少しずつ広がっていきます。


