ハーブティーの中で、ひときわ鮮やかな赤色を見せてくれるローズヒップ。
「ローズ」という名前から、バラの花のような華やかな香りを想像するかもしれませんが、ローズヒップは花びらではなく、バラに実る赤い果実の部分です。
お湯を注ぐと、淡い赤みを帯びたハーブティーになり、口に含むとキュッとした酸味が広がります。
ローズヒップは、ビタミンCを含む植物として知られていますが、それだけが魅力ではありません。
赤い色のもとになる成分やポリフェノールなど、植物が実を守るためにつくるさまざまな成分も含まれています。
今回は、そんなローズヒップを「身体にいいハーブ」としてだけではなく、色や酸味を楽しむ植物として味わってみます。
ローズヒップとは?
ローズヒップは、バラ科バラ属の植物にできる果実の総称です。
ハーブティーなどに利用される代表的な種類のひとつが、ドッグローズ(Rosa canina)。
ヨーロッパからアジア、北アフリカなどに分布する野生のバラで、秋になると赤やオレンジ色の実をつけます。
植物学的には、私たちが「実」と呼んでいる赤い部分は、花のあとに発達した偽果にあたります。
その中には種子があり、表面には細かな毛がついています。
この毛は食用には向かないため、ローズヒップを食品として利用するときには、種子や毛を取り除いたものや、適切に加工されたものが使われます。
花を楽しむバラとはまた違い、花が終わったあとにできる実にも、植物ならではの魅力があるのですね。
ローズヒップの香りと味わい
ローズヒップの魅力といえば、まず印象に残るのが酸味です。
ハーブティーにすると、レモンを思わせるようなキュッとした酸っぱさがあり、後味には少し果実らしい風味が残ります。
バラの花のような甘く華やかな香りというより、フルーティーでやや野性味のある香り。
そのため、単独で飲むだけでなく、ハイビスカスなど酸味のあるハーブとブレンドされることもあります。
ローズヒップティーの鮮やかな赤色も、味わいの楽しみのひとつ。
透明なカップに入れると、夕暮れのような赤みが見えて、温かい飲み物でありながらどこか軽やかな印象があります。
酸味が強く感じられるときは、はちみつなどで甘みを加えると、果実のような飲みやすさになります。
ローズヒップに含まれる成分
ローズヒップには、植物の実らしいさまざまな成分が含まれています。
代表的なものを見てみましょう。
ビタミンC
ローズヒップを語るうえで外せないのがビタミンCです。
ビタミンCは、コラーゲンの生成や鉄の吸収、抗酸化作用などに関わる栄養素。
体内では活性酸素による酸化から細胞を守る働きにも関わっています。
ローズヒップのビタミンC含有量は、植物の種類や産地、栽培条件、加工方法などによって変わりますが、Rosa canina の果実には比較的多く含まれることが報告されています。
ポリフェノール
ローズヒップには、カテキンなどのポリフェノールやフラボノイドも含まれています。
ポリフェノールは植物が紫外線や外敵などから自分自身を守るためにつくる成分のひとつ。
人の身体では、抗酸化作用に関わる成分として知られています。
ローズヒップに含まれるポリフェノールの種類や量は、植物の種類や産地などによって違いがあります。
カロテノイド
赤やオレンジ色をしたローズヒップには、カロテノイドも含まれています。
カロテノイドは植物の色をつくる色素成分の一群で、β-カロテンなどが知られています。
ローズヒップの鮮やかな色を眺めながら飲むと、植物がつくった色そのものも味わっているように感じられます。
ローズヒップと身体との関わり
ローズヒップは、何か特定の不調を治すためのものとして考えるより、食事や飲み物から植物由来の成分を取り入れるひとつの選択肢として楽しむと自然です。
ビタミンCは、コラーゲンの生成や鉄の吸収、抗酸化作用など、身体のさまざまな働きに関わっています。
また、ポリフェノールやカロテノイドなどにも抗酸化作用が知られています。
ただし、ローズヒップティーを飲めば特定の病気を予防できる、というように考えるものではありません。
「赤い実には、こんな成分が含まれているんだな」と植物の中身を知りながら、飲み物として楽しむくらいがちょうどよさそうです。
ローズヒップをおいしく味わう
ローズヒップは、ハーブティーとして楽しむのが一般的です。
乾燥したローズヒップにお湯を注ぐと、赤みのある色と爽やかな酸味を楽しめます。
はちみつを加えて
酸味が強いと感じるときには、はちみつを少し加えると、まろやかな味わいになります。
酸味と甘みの組み合わせは、果実のジュースに近い感覚で楽しめます。
他のハーブとブレンドして
ローズヒップは、ほかのハーブとの組み合わせも楽しめます。
特に酸味や香りを持つハーブと合わせると、味わいに奥行きが出ます。
ハイビスカスと組み合わせたハーブティーは、鮮やかな色としっかりした酸味を楽しめる代表的な組み合わせです。
反対に、酸味をやわらげたいときには、香りの穏やかなハーブや甘みのある素材と合わせるのもよさそうです。
冷たくして
ローズヒップティーは、冷やしても楽しめます。
暑い季節には、濃いめに淹れて氷を加えると、酸味のあるすっきりしたハーブドリンクに。
温かいときとは違い、酸味がより軽やかに感じられることがあります。
こんな時間にローズヒップを
ローズヒップは、朝の一杯にも、午後のひと休みにも似合うハーブです。
特に、甘いものを食べたいけれど、飲み物はすっきりしたものがいい。
そんなときには、ローズヒップの酸味がよいアクセントになります。
焼き菓子やチーズケーキのような甘みのあるものとも相性がよく、口の中をさっぱりさせながら次のひと口へつないでくれます。
赤い色を眺めながらゆっくり飲めば、いつものティータイムにも少し特別な時間が生まれそうです。
暮らしにローズヒップを取り入れる
ローズヒップは、ハーブティーだけでなく、ジャムやシロップなど、果実として加工して楽しむ方法もあります。
ただし、ローズヒップは種子や細かな毛を含むため、生の実をそのまま食べるのではなく、食用として適切に加工されたものを使うことが大切です。
ハーブティーを選ぶときも、食品・飲用として販売されているものを選ぶと安心です。
また、ローズヒップオイルなどの化粧品に使われるものと、ハーブティーなど食用にするものは別のもの。
「ローズヒップ」という名前が同じでも、用途を確認して使い分けたいところです。
ローズヒップの酸味や色を楽しみながら、いつものティータイムに植物を取り入れてみるのもよさそうです。
ローズヒップを味わう時間
赤い実をつけるバラ。
花が咲いているときには華やかな美しさを見せてくれますが、花が終わったあとにも、こんなふうに味わえる姿を残してくれます。
キュッとした酸味。
赤く透き通る色。
そして、ビタミンCやポリフェノール、カロテノイドなど、植物が実の中に蓄えた成分。
ひとつの植物を知っていくと、いつものハーブティーも少し違って見えてきます。
今日はどんな色かな。
どんな香りがするかな。
酸味のあとには、どんな風味が残るかな。
そんなふうに五感を使いながら植物を味わう時間も、日々の小さな癒しのひとつなのかもしれません。
ほかにも、季節や植物を味わいながら、自分に合う癒しを探してみませんか?
