
赤みのある美しい色合いと、どこかほっとするようなやさしい風味。
ルイボスティーは、紅茶や緑茶とは少し違った魅力を持つお茶です。
南アフリカの乾燥した大地に育つルイボスという植物からつくられ、渋みが少なく、すっきりとした後味を楽しめます。
そのまま飲むのはもちろん、レモンやジンジャー、シナモンなどを合わせてもおいしく、季節や気分に合わせて味わい方を変えられるのも魅力です。
今回は、健康効果だけを追いかけるのではなく、ルイボスという植物や、その香り・味わい、含まれる成分を知りながら、日々のお茶として楽しむ方法を見ていきます。
ルイボスとは?
ルイボスは、マメ科アスパラトゥス属の植物です。
学名は Aspalathus linearis。
南アフリカ共和国の西ケープ州にある、セダルバーグ山脈周辺の限られた地域に自生しています。
乾燥した土地や昼夜の温度差が大きい環境の中で育つ植物で、細く針のような葉を持つのが特徴です。
この葉や細い枝を収穫して発酵・乾燥させたものが、一般的な「ルイボスティー」として親しまれています。
発酵といっても、ヨーグルトや味噌のように微生物を使う発酵とは少し異なり、収穫した植物を細かくして湿らせ、酸化を進めることで、赤褐色の色合いと独特の風味が生まれます。
一方、発酵させずに乾燥させた「グリーンルイボス」もあります。
こちらは赤いルイボスとは色や風味が異なり、よりすっきりとした味わいを楽しめます。
ルイボスの香りと味わい
ルイボスティーを淹れると、淡い赤褐色から琥珀色のような美しい色になります。
香りには、乾いた草や木を思わせるような穏やかさがあり、ほんのり甘く感じられることもあります。
口に含むと、紅茶のような強い渋みは少なく、まろやか。
後味にも比較的やさしい甘みが残ります。
そのため、食事と一緒に飲むだけでなく、夜のひと息つく時間にも取り入れやすいお茶です。
温かく淹れると、香ばしさや丸みのある風味を感じやすく、冷やすとすっきりとした印象になります。
ミルクを加えてまろやかにしたり、レモンやジンジャーを加えて香りにアクセントをつけたり。
シンプルなお茶だからこそ、その日の気分に合わせて表情を変えられます。
ルイボスに含まれる特徴的な成分
ルイボスには、ポリフェノールの一種であるアスパラチンが含まれています。
アスパラチンはルイボスを特徴づける成分のひとつで、抗酸化作用との関わりが知られています。
植物は紫外線や乾燥などの環境ストレスにさらされるため、さまざまなポリフェノールなどをつくります。
ルイボスが乾燥した厳しい環境で育つ植物であることを考えると、こうした成分を持っていることも興味深いところです。
また、ルイボスにはケルセチンなどのフラボノイド類も含まれています。
ポリフェノールは、植物の色や香りなどにも関わる成分であり、私たちが植物を味わうときの「植物らしさ」を知る手がかりのひとつにもなります。
ただし、ルイボスティーは薬ではありません。
含まれる成分の働きを知識として楽しみながら、毎日の飲み物として取り入れるくらいの距離感がちょうどよさそうです。
カフェインを含まないお茶として
ルイボスティーの特徴のひとつが、一般的な茶葉からつくられる紅茶や緑茶とは違い、カフェインを含まないことです。
そのため、カフェインを控えたいときのお茶の選択肢にもなります。
朝の水分補給として飲むこともできますし、夕方から夜にかけて温かいお茶をゆっくり味わいたいときにも。
「健康のために飲む」というだけではなく、時間帯によってお茶を選ぶ楽しさの中にルイボスを加えてみるのもよさそうです。
ルイボスティーのおいしい楽しみ方
基本的には、ティーバッグや茶葉を熱湯でじっくり抽出すると、ルイボスらしい赤みと風味を楽しめます。
少し濃いめに淹れても渋みが強くなりにくいため、好みに合わせて抽出時間を調整できます。
レモンを合わせて
ルイボスのまろやかな風味に、レモンの酸味と爽やかな香りを加えると、すっきりした一杯になります。
暑い季節には冷やしてアイスティーにしても。
赤みのあるお茶にレモンを浮かべると、見た目にも涼やかです。
ジンジャーを合わせて
ルイボスに薄切りの生姜を加えると、やさしい甘みの中にピリッとした刺激が加わります。
寒い季節には温かいルイボスティーに生姜を合わせて、香りと辛みをゆっくり楽しむのもよさそうです。
シナモンを合わせて
シナモンを加えると、ルイボスの穏やかな風味に甘くスパイシーな香りが重なります。
ミルクを加えてチャイのように楽しむこともできます。
ルイボスは味の主張が強すぎないため、スパイスとの組み合わせも楽しみやすいお茶です。
こんな時間にルイボスを味わいたい
ルイボスティーは、季節を問わず楽しめるお茶です。
暑い季節には冷たくして、レモンやミントを添えて。
寒い季節には温かく淹れて、生姜やシナモンを合わせて。
食事中のお茶として楽しむこともできますし、仕事や家事の合間にひと息つく時間にも。
カフェインを含まないという特徴から、夕方以降のお茶を選ぶときにも取り入れやすいでしょう。
その日の気温や食事、気分に合わせて、同じルイボスでも飲み方を変えてみる。
そんな楽しみ方ができるのも、ルイボスティーの魅力です。
ルイボスを暮らしに取り入れる
ルイボスは、特別なときだけのお茶にしなくても大丈夫。
茶葉やティーバッグを常備しておけば、温かいお茶が飲みたいときにさっと淹れられます。
少し多めに淹れて冷蔵庫で冷やしておけば、暑い日の水分補給にも。
また、レモン・生姜・シナモンなど、家にあるものを少し加えるだけでも味わいが変わります。
「今日はどんな味にしよう」と考えながらお茶を淹れる時間そのものも、植物を味わう楽しみのひとつです。
ルイボスティーを日常のお茶として楽しみたい方は、茶葉やティーバッグなど、自分の生活に取り入れやすいものから選んでみるのもよさそうです。
植物を味わう時間
南アフリカの乾いた大地に育つルイボス。
細い葉を持つ植物が、遠く離れた場所で育ち、私たちのところへお茶として届いています。
赤みのある色合いを眺め、穏やかな香りを感じ、口に含んだときのまろやかな味わいを楽しむ。
そこにレモンや生姜、シナモンを少し加えて、その日の気分に合わせて変化を楽しむ。
植物を味わうことは、成分や身体への働きを知ることだけではありません。
どこで育った植物なのか、どんな香りがするのか、どんな食材と合うのか。
そんなことを知りながら一杯のお茶を味わうと、いつもの時間が少し違って感じられることがあります。
ルイボスティーをきっかけに、植物の香りや味わいをゆっくり楽しむ時間をつくってみるのもよさそうです。


