
ラベンダーと聞くと、甘くやさしいフローラルな香りを思い浮かべる方が多いかもしれません。
でも、ラベンダーにはいくつもの種類があり、香りも成分もそれぞれ違います。
今回ご紹介するラベンダー・スピカは、一般的なラベンダー・アングスティフォリア(真正ラベンダー)とは少し違った、すっきりとした清涼感を持つラベンダーです。
ラベンダーらしい花のやわらかさがありながら、ユーカリやローズマリーを思わせるようなシャープさも感じられるのが特徴。
「ラベンダーは好きだけれど、もう少しすっきりした香りも楽しみたい」
そんなときに知っておきたい精油のひとつです。
精油について
ラベンダー・スピカは、シソ科ラベンダー属の植物 Lavandula latifolia から採れる精油です。
英語では「Spike Lavender」と呼ばれ、日本では「スパイクラベンダー」「ラベンダー・スピカ」「ラベンダー・アスピック」などの名前で紹介されることがあります。
地中海沿岸を中心に分布し、スペインからフランス、イタリアなどの乾燥した地域に自生しています。Kewのデータでも、Lavandula latifoliaの自生域はスペインから北中部イタリアとされています。
精油は主に地上部を水蒸気蒸留してつくられます。
基本情報
- 学名:Lavandula latifolia Medik.
- 科名:シソ科
- 主な産地:スペイン、フランス、イタリアなど
- 抽出部位:花・葉・茎などの地上部
- 抽出方法:水蒸気蒸留法
- 主な芳香成分:1,8-シネオール、リナロール、カンファーなど
ラベンダー・スピカの大きな特徴は、1,8-シネオールやカンファーを比較的多く含むこと。
一方、ラベンダー・アングスティフォリアではリナロールや酢酸リナリルが中心となるため、同じラベンダーでも香りの印象がかなり変わります。
どんな香り?
香りの印象
ラベンダー・スピカは、ひと言でいうと**「すっきりしたラベンダー」**。
甘く丸みのあるアングスティフォリアに比べると、花の香りの奥からカンファーのような清涼感が立ち上がります。
少しシャープで、ハーブらしい青さもあり、どこかユーカリやローズマリーを思わせるような印象。
ラベンダーなのに、甘さよりも「すーっと抜ける感じ」が先に感じられることもあります。
香りの強さ
香りは比較的しっかりしています。
少量でも存在感があり、ディフューザーなどで使うと空間にすっきりした印象をつくりやすい精油です。
香りのノート
ミドルノート〜トップ寄り。
最初に清涼感のある香りが広がり、そのあとからラベンダーらしいハーバルでフローラルなニュアンスが残ります。
香りの持続性
アングスティフォリアのような甘く柔らかな余韻というより、すっきりした香りが印象に残るタイプ。
ブレンドでは、重たい香りに軽さを加えたいときにも使いやすい精油です。
ブレンドとの相性
ラベンダー・スピカは、清涼感のある精油とよく合います。
ユーカリ、ローズマリー、ペパーミントなどと合わせれば、すっきりしたハーバル系のブレンドに。
また、ラベンダー・アングスティフォリアやゼラニウムなど、フローラル系と合わせると、スピカのシャープさが少しやわらぎます。
同じラベンダーでも、アングスティフォリアとスピカを一緒に使ってみると、それぞれの個性がより分かりやすくなります。
主な成分と特徴
ラベンダー・スピカの精油を特徴づけているのが、1,8-シネオール、リナロール、カンファーなどの芳香成分です。
ただし、精油の成分比率は産地や気候、収穫時期などによって変化します。スペイン南部の研究では、リナロール、1,8-シネオール、カンファーが主要成分として確認されています。
1,8-シネオール
ユーカリにも多く含まれる、すっとした清涼感を持つ成分です。
ラベンダー・スピカを嗅いだときに感じる、シャープで抜けのよい印象にも関係しています。
リナロール
ラベンダーを代表する芳香成分のひとつ。
フローラルでやわらかな香りを持ち、ラベンダー・スピカにも含まれています。
1,8-シネオールやカンファーのすっきりした印象の中に、ラベンダーらしい穏やかさを残している成分ともいえます。
カンファー
樟脳を思わせる、はっきりとした清涼感とシャープさを持つ成分です。
ラベンダー・スピカがアングスティフォリアよりもキリッとした香りに感じられるのは、このカンファーの存在も大きな理由です。
ラベンダー・スピカ精油の作用
ラベンダー・スピカは、アングスティフォリアとは異なり、1,8-シネオールやカンファーなどを含むことから、すっきりした香りと身体を軽やかに感じさせるような使い方に向いている精油です。
鎮静作用
ラベンダーに含まれるリナロールなどには、神経の興奮を穏やかにする方向に働くことが知られています。
ただし、ラベンダー・スピカは清涼感のある成分も多いため、アングスティフォリアのような「眠る前の甘く穏やかなラベンダー」とは少し違った印象になります。
抗菌作用
ラベンダー・スピカに含まれる芳香成分には、微生物の増殖を抑える方向に働く性質が知られています。
精油そのものを消毒剤の代わりにするということではありませんが、香りを楽しみながら空間をすっきり整えたいときに取り入れやすい特徴です。
抗炎症作用
ラベンダー・スピカの精油には、炎症反応に関わる成分や作用について研究されています。
特にリナロールなど、ラベンダー類に含まれる成分がこうした特徴に関係しています。
鎮痛作用
カンファーやリナロールなどの芳香成分には、痛みの感じ方に関わる作用が知られています。
香りを楽しむ芳香浴だけでなく、適切に希釈してボディトリートメントに取り入れる場合にも、ラベンダー・スピカらしい特徴のひとつとして考えられます。
抗真菌作用
ラベンダー・スピカ精油には、真菌に対する作用も報告されています。
精油の抗菌・抗真菌作用は、含まれる成分の種類や濃度によっても変わるため、日常では「香りを楽しみながら、植物の持つ特徴に触れる」というくらいに捉えておくとよいでしょう。
こうしたラベンダー・スピカの作用については、精油の成分や微生物などを対象とした研究が行われています。実験条件によって結果は異なるため、医療的な治療効果としてではなく、精油の持つ性質として知っておくとよいと思います。
こんなときにラベンダー・スピカ精油を
ラベンダー・スピカは、甘くやわらかな香りでゆっくり休みたいときというより、すっきりした香りを取り入れながら気持ちを切り替えたいときに向いています。
- 気持ちをすっきり切り替えたいとき
清涼感のある香りを楽しみながら、気分をリフレッシュしたい場面に。 - 空間をすっきり整えたいとき
ハーバルでシャープな香りを広げて、空間の雰囲気を軽くしたいときに。 - 身体を動かしたあとの時間に
運動やボディワークのあと、カンファーを含むラベンダー・スピカの香りを楽しみながらゆっくり過ごしたいときに。 - いつものラベンダーとは違う香りを楽しみたいとき
甘いラベンダーよりも、少しシャープで清涼感のある香りが好きな方に。
植物と歴史
ラベンダー・スピカの学名は Lavandula latifolia。
「latifolia」は「広い葉」を意味する言葉に由来します。
地中海沿岸の乾燥した地域に適応した植物で、スペインを中心にフランスやイタリアなどに分布しています。日当たりのよい、乾燥した石灰質の土壌などでも育つことが知られています。
ラベンダー・スピカは、古くからその香りを生かして香水や化粧品などの香料原料として利用されてきました。
現在でも精油は香料産業で利用されており、ラベンダーの中でも独特の、カンファーを思わせる力強い香りが個性になっています。
また、ラベンダー・スピカはラベンダー・アングスティフォリアと自然交雑することがあり、両者の交雑種が**ラバンディン(Lavandula × intermedia)**です。
「ラベンダー」とひとまとめにしてしまうと見えにくいのですが、同じ仲間の中でも、育つ環境や遺伝的な違いによって香りや成分に個性が生まれています。
植物を知ってから香りを嗅いでみると、「なるほど、この植物だからこの香りなんだ」と感じられるところも面白いですね。
香りの楽しみ方
ラベンダー・スピカは、すっきりした香りを生かして芳香浴で楽しむのが取り入れやすい方法です。
アロマストーンやディフューザーなどで少量を香らせると、ハーバルで清涼感のある香りが空間に広がります。
仕事や家事の合間に香りを変えて、気分を切り替えるのもよさそうです。
また、ボディオイルなどに使う場合は、必ず植物油などで適切に希釈します。
甘いラベンダーが好きな方なら、アングスティフォリアと少量ブレンドしてみるのもおすすめ。
「ラベンダーだけれど、いつものラベンダーとは違う」
そんな違いを感じながら香りを楽しむのも、精油のおもしろさのひとつです。
ラベンダー・スピカ精油の禁忌事項
ラベンダー・スピカは、ラベンダー・アングスティフォリアと同じ感覚で扱わないことが大切です。
特に、カンファーや1,8-シネオールを含むことから、使用する人や方法には少し注意が必要です。製品や資料によって注意事項には幅があるため、使用する精油のメーカーが示す情報も確認しましょう。
- 妊娠中・授乳中:使用を控える、または専門家に確認してから使うなど、慎重に扱います。
- 乳幼児・子ども:カンファーを含むため、大人と同じ感覚では使用しないようにします。
- 喘息など呼吸器に不安がある場合:1,8-シネオールを含むため、芳香浴や吸入で刺激を感じることがあります。使用には注意が必要です。
- てんかん・けいれん発作の既往がある場合:カンファーを含む精油のため、自己判断での使用は避け、専門家に確認しましょう。
- 肌への使用:原液塗布は避け、適切に希釈します。敏感肌の方は少量から様子をみると安心です。
- アレルギー:ラベンダーを含む芳香植物に反応する方もいるため、違和感があれば使用を中止します。
精油は、植物から抽出された香りの成分が凝縮されたものです。
原液を直接肌につけたり、自己判断で飲用したりすることは避けましょう。
肌に使用する場合は、植物油などで適切に希釈して使います。
また、妊娠中・授乳中の方、乳幼児、高齢者、持病や服薬がある方などは、精油の使用について専門家に確認しておくと安心です。
肌に使用する場合は、体質によって刺激やアレルギー反応が起こることもあります。
「天然のものだから大丈夫」とは限りません。
使用する精油のメーカーが示している注意事項や品質情報も確認しながら、無理のない範囲で楽しみましょう。
Rinkaでの使い方・使用している精油
Rinkaでは、ラベンダー・スピカのように、同じラベンダーでも香りの個性が違う精油を知っておくことを大切にしています。
ラベンダー・アングスティフォリアの甘く穏やかな香りとは違い、スピカにはすっきりした清涼感があります。
そのため、ラベンダーという名前だけで選ぶのではなく、
「今日はどんな香りを嗅ぎたいかな?」
というところから選んでみるのもいいですね。
Rinkaで使用している精油はこちらからご覧いただけます。
香りをもっと楽しむ
ラベンダーは、ひとつの種類だけではありません。
甘くやさしいラベンダー、すっきりしたラベンダー、そしてラバンディンのような力強さを持つラベンダー。
それぞれの植物や成分を知ってから香りを嗅いでみると、今までとは違ったラベンダーの表情が見えてくるかもしれません。
気になる香りがあれば、精油辞典の中からゆっくり探してみてください。


